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Column UP DATE: 2019. 03. 22

連載 パテック フィリップへの誘い

第6回:複雑機構の定番「ワールドタイム」

#パテック フィリップ #クロノグラフ #レディス #ワールドタイム

 180年以上の歴史を持つ、世界最高峰の時計メーカーPatek Philippe(パテック フィリップ)。
 その正規販売店であり、世界を代表する時計店 YOSHIDA(ヨシダ)が、
さまざまな角度からパテック フィリップという至高のマニュファクチュールの魅力を紐解いていく本連載。
 第6回は、言わずと知れた“複雑機構のマストアイテム”、「ワールドタイム」の魅力に迫ります。

※掲載商品の情報は変更される場合がございますのでご了承ください。

コンプリケーションの
記念碑的モデル

 今日パテック フィリップは、創業者の一人であるジャン・アドリアン・フィリップ考案による1844年に発表された“鍵なし竜頭巻き上げ・時刻合わせ式機構”をはじめとする、数多くの発明を世に残すことで名声を築き上げてきた名門マニュファクチュールとして広く知られています。

 パテック・チャペック社から現在の社名に変更した1851年、パテック フィリップはロンドンで開催された万国博覧会にて、ヴィクトリア女王に献上したと言われている七宝で彩られたペンダントウォッチを筆頭に、精密な時計技術と装飾工芸が共存する数々の時計を披露することによって、その名を世間に轟かせました。その躍進はとどまることを知らず、19世紀中頃から20世紀初頭にかけて、懐中時計と腕時計、いずれの分野においても枚挙にいとまがないほどの功績を残しています。

1937年に製品化したパテック フィリップ史上初となる
「ワールドタイム」Ref.515 HU。
1937年に製品化したパテック フィリップ史上初となる
「ワールドタイム」Ref.515 HU。

 その後、同社の時計製造における大きな分岐点となったのは1932年、「カラトラバ」の初代モデルにあたるRef.96の発表にほかなりません。いま見ても色あせない究極のタイムピースの登場は、“腕時計時代の到来”を告げるターニングポイントとなる出来事でした。

 これと並行し、パテック フィリップは、1930年代に腕時計の歴史に燦然と輝くユニークな複雑機構「ワールドタイム」の開発に着手します。

 この機構が誕生した起源を遡ると、1884年にワシントンで開催された国際子午線会議で経度0度と定められているグリニッジ天文台を本初子午線とした「グリニッジ標準時」に辿り着きます。つまり、これによって世界時が成立したことから、地球を24のタイムゾーンに分割することが定められ、多くの時計メーカーが複数の時刻を表示できる世界時計の開発に傾倒していきました。「ワールドタイム」の生みの親である時計師ルイ・コティエとパテック フィリップの偉業は、この難題をコンパクトな腕時計のサイズで解決したことにありました。

  • 1940年に発表された「ワールドタイム」 Ref.1415-1 HU。
    当時のスタイルを物語る、ケースの右側に取り付けられた
    2つのプッシュボタンが大きな特徴。
  • 1946年製のRef.1415 HU。41の都市と地名を表示した回転ベゼルを導入。
    こちらの個体はプラチナ製。2002年、アンティコルム社のオークションに出品され、
    660万スイスフランで落札。当時の腕時計世界最高価格を樹立した。

 のちに“ルイ・コティエ式”と呼ばれるこのワールドタイム機構の長所として、“シンプルな操作性”と“高い視認性”が挙がります。文字盤の中央には、通常の時刻を表示する時計、その外周のリングに24時間表記のリングを配置。この2つを連動させることで指定した都市を基準に、世界の主要都市の時間を表示させる機能を実現させました。

 複雑な操作を必要としない優れた実用性が評判を呼び、パテック フィリップの名は世界中のジェットセッターたちの間で広まっていきます。

飽くなき実用への探求が
進化を促す

 時代が変わり、1950年代になると、ジェット旅客機の発展から海外旅行を好む富裕層が急増。パイロットウォッチやGMT機構を持つ時計の需要が高まり、パテック フィリップの「ワールドタイム」に新たなスタイルが誕生しました。

 1959年に登場したRef.2597は、2つの小さなプッシュボタンを操作することで時針のみを前後にステップできるという、ルイ・コティエが新たに考案した画期的な機構が搭載されました。1962年には、後続機にあたるRef.2597 HSが登場。このモデルは今日の「トラベルタイム」の原型であると時計愛好家たちの間で語り継がれています。

 それから数十年後の2000年。Ref.5110の開発によって、「ワールドタイム」は現行コレクションへと繋がる劇的な進化を遂げます。1999年に特許を取得したその画期的な機能とは、たったひとつのプッシュボタンの操作だけで計時精度へ一切影響を与えることなく、時針、24時間表示のリング、都市名を表示したリングをすべて連動させ、時差設定を変更できるというものでした。これによりパテック フィリップの「ワールドタイム」は新時代の幕を開けたのです。

2006年に廃盤となったRef.5110P。
こちらは極めて人気が高いプラチナ製のケース。
2006年に廃盤となったRef.5110P。こちらは極めて人気が高いプラチナ製のケース。

「ワールドタイム」の
現在(いま)を知る

 ジェットセッターから時計愛好家、あるいはコレクターにいたるまで、世界中の人々に愛され続けている複雑機構の古典である「ワールドタイム」は、今ではコンプリケーテッド・ウォッチの定番として、盤石のポジションを築き上げ、近年はよりコレクションの幅を広げ、その輝きを一段と増しています。

 このパートでは、パテック フィリップの魅力を知り尽くしたYOSHIDAの店頭から、メンズ・レディスを合せて、3本の「ワールドタイム」を紹介します。実用性を徹底的に考え抜かれたコンプリケーテッド・ウォッチの真髄をご堪能いただけるはずです。

CASE.1

「ワールドタイム」の
正統な後継機

 2016年に登場したRef.5230は、今現在「ワールドタイム」の伝統を最も色濃く継承したモデルとして人気です。前作Ref.5130から、ケースやベゼル、針などのデザインが一新され、ケースは38.5mm径と一回りコンパクトなサイズに変更。このほかにホワイトゴールドのケースが展開しています。外装にこだわるパテック フィリップらしいギヨシェ彫りの仕上がりは格別の味わいがあります。

5230

■38.5mm ■18Kローズゴールドケース ■アリゲーターストラップ ■自動巻き(Cal.240 HU)■30m防水 ■価格はお問い合わせください

CASE.2

クロノグラフとの
必然的な邂逅

 Ref.5930はワールドタイム×クロノグラフの融合を見事に果たした意欲作。鮮やかなブルーの文字盤には手仕上げのギヨシェ装飾が施されています。Ref.5230とはまた違った角度から「ワールドタイム」の魅力が味わえます。

5930

■39.5mm ■18Kホワイトゴールドケース ■アリゲーターストラップ ■自動巻き(Cal.CH 28-520 HU)■30m防水 ■価格はお問い合わせください
クロノグラフ専用の自動巻きムーブメントCal.CH 28-520に
24時間タイムゾーン表示を加えることでこの機構が完成に至る。

CASE.3

ダイヤモンドが輝く
魅惑のレディスモデル

 「ワールドタイム」の優れた操作性をそのまま楽しめる、Ref.5230よりも小ぶりなサイズ設定のレディスモデル。62個(約0.85カラット)のダイヤモンドがベゼルにセッテイングされた美しいスタイリングも人気の理由。レディスモデルらしい薄型のケースは、マイクロローター仕様の自動巻きムーブメントCal.240 HUの搭載により実現。素晴らしいコンプリケーションを所有する喜びを女性と共有できることもパテック フィリップならではの魅力だと言えるでしょう。

7130

■36mm ■18Kローズゴールドケース ■アリゲーターストラップ ■自動巻き(Cal.240 HU)■30m防水 ■価格はお問い合わせください

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