UP DATE: 2019. 06. 05
連載 高級時計を巡る旅
第12回:未来を予見する革命的モデル
「ビッグ・バン」【後編】
#ウブロ #YOSHIDA限定 #クロノグラフ #ミニッツリピーター #トゥールビヨン #ビッグ・バン #マスターピース
「The Art of Fusion(異なる素材やアイデアの融合)」というブランドコンセプトを最も強く体現する、
言わずと知れたHUBLOT(ウブロ)のフラッグシップモデル「ビッグ・バン」。
前編に続き、後編では、「複雑時計機構」と「ケース素材」の話題に特化し、ウブロの革新的な技術開発力を探求する。
YOSHIDA(ヨシダ)の店頭でも非常に人気の高い数々のコンプリケーションが生まれる背景とは?
※こちらの特集は、時計専門サイト「Gressive(グレッシブ)」での連載コラム『YOSHIDAで体験する、高級時計への旅』の記事を再編集したものです。
※掲載商品の情報及び価格は変更される場合がありますのでご了承ください。
マニュファクチュールの
開設により、
数々の技術革新を実現
2005年のバーゼルワールドでデビューした「ビッグ・バン」。その後のウブロ大躍進の原動力となったマスターピースだが、年を追うごとに新開発の複雑機構やケース素材が次々に投入され、この15年ほどのウブロの高度な技術力が総覧できるという点でも「ビッグ・バン」は象徴的な存在となっている。
しかし、新技術とは早々に実現できるものではなく、開発力の一大転機となったのは2009年10月、スイス・ニヨンに誕生した本社マニュファクチュールと断言できる。この時、ウブロはマニュファクチュール内に複雑時計機構の開発部門と、ケース等に採用される新素材開発部門を開設した。もちろん、自社開発・製造ムーブメント「ウニコ」(UNICO/スペイン語で“唯一の、類のない”の意)の一大拠点でもある。
これらを牽引したのは、2004年にウブロのCEOに就任したジャン-クロード・ビバー氏(現会長)と、彼の右腕であり聡明なプロダクトマネジャーでもあったリカルド・グアダルーペ氏(現CEO)である。彼らによりウブロは第2の創業期を迎えたと言っても過言ではない。
2015年にはさらに、第2工房(「H2/アッシュ・ドゥ」)を完成、自社開発・製造率は一気に向上した。
複雑時計機構の開発については、ウブロは天才と呼ばれたBNBコンセプトのマティアス・ビュッテ氏と、彼が率いるスタッフをそのまま自社に迎え入れた。これが功を奏し、才気煥発の彼らを迎えることで、以降の開発速度に拍車がかかったのは間違いない。ちなみにこの2010年には自社開発・製造ムーブメント「ウニコ」と、後述する独自素材「キングゴールド」が発表されている。
さらに5年後の2015年9月には第2工房がオープン。この新工房には、ケース製造部門と、エボーシュ製造部門を合わせた機能を集積させた。
ケース素材の開発に言及すると、まずマニュファクチュール竣工翌年の2010年には、「ウニコ」を搭載し、赤みが美しく経年変化しにくいキングゴールドが完成、これをケースに採用した「キング・パワー ウニコ キングゴールド」が発表された。
また翌年の2011年には、ウブロのケース開発史ではエポックメイキングとなる「マジックゴールド」が誕生する。「マジックゴールド」とは、純金と炭化ホウ素(セラミック)を数回の高温・高圧によって完成する18Kゴールドで、世界初の傷のつきにくい18Kゴールドとして誕生した。これを採用したモデルが翌2012年の「ビッグ・バン フェラーリ マジックゴールド」である。
一方の複雑時計の開発では、2013年に香箱を11個連結させ、約50日間の超ロングパワーリザーブを実現した「MP-05 ラ・フェラーリ」はウブロの技術の頂点のひとつ、ウブロの開発者と時計師が、デザインから開発、製造までを一貫して手掛けた特別なタイムピースだ。
そしてこの技術開発の先に見えるのが、同じ複雑モデルで2018年に発表された「ビッグ・バン MP-11 14デイ パワーリザーブ サファイア」である。
ビッグ・バン MP-11 14デイ
パワーリザーブ サファイア
2018年バーゼルワールド発表の「ビッグ・バン MP-11 14デイ パワーリザーブ サファイア」。約14日間ものパワーリザーブ実現のため、時計下部に7個の連結香箱を配置。さらに透明度を追求したサファイアクリスタルケースに加え、大胆な曲線を形成した同素材の風防は現在のウブロの高い技術力の一端を垣間見られる代表モデルだ。
■911.JX.0102.RW ■45mm ■サファイアクリスタルケース ■ホワイトラバーストラップ ■手巻きトゥールビヨン ■3気圧(30m)防水 ■世界限定200本 ■¥16,577,000 (税込)
ビッグ・バン MP-11 14デイ
パワーリザーブ 3Dカーボン
縦、横、垂直の3方向に繊維を重ねることで独特の質感を生み、高い耐久性と軽さを実現した3Dカーボンをケースに採用した、約14日間パワーリザーブモデル。サファイアクリスタルモデルと同様、7個の連結香箱を収納する自社開発・製造の手巻きムーブメントCal.HUB9011を搭載。
■911.QD.0123.RX ■45mm ■3Dカーボンファイバーケース ■ブラックラバーストラップ ■手巻きトゥールビヨン ■3気圧(30m)防水 ■世界限定200本 ■¥12,056,000 (税込)
無限の可能性を秘める
開発力で明日の時計界を牽引
「ビッグ・バン MP-11 14デイ パワーリザーブ サファイア」のもうひとつの特徴が、ケースに採用されたサファイアクリスタルの成形技術だ。垂直構造の7個の連結香箱はケースサイドから見ると時分計よりも盛り上がった状態になっている。そのために連結香箱のボリュームラインに合わせて、サファイアクリスタルのケースとベゼル、風防が大きなカーブを描くように成形されている。
サファイアクリスタルの硬度は、材質の硬さの基準となるモース硬度では硬度9。これは硬度10のダイヤモンドに次ぐ硬さで、普通のフラットに近いダイアルでも成形困難と言われているにもかかわらず、このような大胆な成形を可能にしたウブロの技術力には脱帽せざるを得ない。
まさに「ビッグ・バン MP-11 14デイ パワーリザーブ サファイア」は、新型複雑機構と革新的なケース開発というウブロの精神を体現したひとつの完成形である。
サファイアクリスタルの高い透明度を生かした
「ビッグ・バン MP-11 14デイ パワーリザーブ サファイア」のケース&ダイアル。
注目すべき点は時計下部の大胆なカーブ形状である。
これは横方向に連結した7個の香箱を収納するために考案された。2枚目の写真では、
香箱と連結したパワーリザーブ表示計が見える(「14」の数字が見えるロール式表示計)。
写真上の時分針は水平位置なので、これに対して直角を成す香箱の動力を90°変換するウォームギアを採用。
自社開発・製造の手巻きムーブメントは、時計の一番手前に垂直で設置されている。
ウブロの時計開発におけるケースの重要性をさらに考えてみたい。ステンレススチール、カーボン、セラミック、チタニウムは彼らが採用する代表的な素材だが、これらの他にサファイアクリスタル、プラチナ、ブロンズ、タングステン、テキサリウム®など多くの素材を巧みに操る。
特に前ページで触れた「キングゴールド」と「マジックゴールド」はウブロ躍進の象徴とも言える素材である。
まず2010年発表の「キングゴールド」は、従来の5Nゴールドよりもさらに赤い色調で、安定的な発色が特徴。
次にゴールドにセラミックを圧縮融合した「マジックゴールド」は、ウブロとEPFL(スイス連邦工科大学ローザンヌ校)と共同で開発し、ウブロ自社内の特別な設備で製造される。一般の金と比べて硬度が高く耐傷性に優れる特性を持つ、世界初の傷のつきにくい18Kゴールドである。
ビッグ・バン トゥールビヨン 5デイ
パワーリザーブ サファイア
すべての可視化に挑戦した約115時間(約5日間)のパワーリザーブ・トゥールビヨン。9時位置のパワーリザーブ計は、スリットで5分割されたインジケーターでエネルギー残存量を表示。自社開発・製造の手巻きCal.HUB6016搭載。
■405.JX.0120.RT ■45mm ■サファイアクリスタルケース ■スケルトンラバーストラップ ■手巻きトゥールビヨン ■3気圧(30m)防水 ■世界限定99本
ビッグ・バン トゥールビヨン 5デイ
パワーリザーブ サファイア バゲット
上で紹介した約5日間パワーリザーブ・トゥールビヨンのベゼルに、48個のバゲットカットダイヤモンド(約2.8カラット)をセットした超豪華モデル。サファイアクリスタルと可視性が完璧に同調するベゼルには、バゲットカットダイヤモンドがセットされている。
■405.JX.0120.RT.1904 ■45mm ■サファイアクリスタルケース ■スケルトンラバーストラップ ■手巻きトゥールビヨン ■3気圧(30m)防水
前述した「ビッグ・バン MP-11 14デイ パワーリザーブ サファイア」(2018年)は、サファイアクリスタル自体をケース化する試みだが、これは極限の透明感を追求した2016年発表の「ビッグ・バン ウニコ サファイア」の開発に依るところが大きい。
また色彩に関しても、ウブロの探究心はとどまるところを知らない。その好例が“ブルーサファイア”。複雑な溶解法と不安定な結晶化プロセスのため極めて困難とされていた、一定量のカラーサファイアを均一色に製造する技術開発に成功したウブロは、2017年に世界初のブルーサファイアクリスタルケースを採用した「ビッグ・バン ウニコ ブルーサファイア」を発表した。
一方、サファイアクリスタルではないが、色彩開発技術はセラミックでも開花。約4年間の期間を経て完成したカラーセラミックの開発により、2018年に登場した「ビッグ・バン ウニコ レッドマジック」では、従来の技術では困難とされてきた濃密で鮮明なレッドの発色に成功した。
このように途切れることがないウブロの新技術への挑戦。数々の革新的な発明は必ず来年、再来年と続き、それは「ビッグ・バン」へも反映され、世界の時計愛好家達を驚嘆させ続けることに違いない。その実力を誰よりも知るYOSHIDAが選ぶハイエンドモデルは、真の意味でラグジュアリーを極めた傑作であることは言うまでもない。
※参考資料:『クロノス日本版』(2014年7月号、同2016年1月号)
ビッグ・バン トゥールビヨン
クロノグラフ
ミニッツリピーター プラチナ
■307.TX.0810.HR.YOS14 ■45mm ■プラチナケース ■ブラックアリゲーター×ブラックラバーストラップ ■手巻きトゥールビヨン ■3気圧(30m)防水 ■YOSHIDAスペシャル
有無を言わさない圧倒的な
存在感が
新たな価値を生む
時計製造の常識を覆すウブロのクリエイションは、未来を志向しながら常に前進し続ける。その最前列に立つグランド・コンプリケーションをどこよりも豊富に取り揃えているYOSHIDAが珠玉のラインナップを厳選。いずれのモデルも最高の満足感を得られることは請け合いである。
ビッグ・バン トゥールビヨン クロノグラフ
カテドラル ミニッツリピーター サファイア
カテドラル(Cathedral=大聖堂)ミニッツリピーターとは、その言葉通り通常のリピーターよりも大きく長いチャイム音を奏でる機能。これにトゥールビヨンとクロノグラフを装備する当モデルは、超複雑モデルの頂点のひとつである。
■404.JX.0112.RT.YOS16 ■45mm ■サファイアクリスタルケース ■スケルトンラバーストラップ ■手巻きトゥールビヨン ■3気圧(30m)防水 ■YOSHIDAスペシャル 限定10本
ビッグ・バン トゥールビヨン 5デイ
パワーリザーブ フルマジックゴールド
2011年発表のマジックゴールドを採用。ビッグ・バン誕生10周年の2015年に登場した約5日間パワーリザーブのトゥールビヨンは、ウブロの革新性を代表するモデル。
■405.MX.0138.RX ■45mm ■18Kマジックゴールドケース ■ブラックラバーストラップ ■手巻きトゥールビヨン ■3気圧(30m)防水 ■世界限定50本
ビッグ・バン ウニコ
パーペチュアルカレンダー サファイア
透明性を極限まで追求したサファイアクリスタルをケースとダイアルに採用。自社開発・製造のCal.HUB1270を搭載する永久カレンダー・クロノグラフは構成部品数416という複雑モデルだ。3時位置にはムーンフェイズを設置。
■406.JX.0120.RT ■45mm ■サファイアクリスタルケース ■スケルトンラバーストラップ ■自動巻きクロノグラフ(自社開発・製造"UNICO")■3気圧(30m)防水 ■世界限定50本
ビッグ・バン トゥールビヨン 5デイ
パワーリザーブ キングゴールド
従来のレッドゴールドを超える、鮮明な赤の色調を実現した2010年発表のキングゴールドをケースに採用。しかも安定した発色が長期間に継続する。約5日間のパワーリザーブを誇る手巻きムーブメントCal.HUB6016を搭載。
■405.OX.0138.LR ■45mm ■18Kキングゴールドケース ■ブラックアリゲーター×ブラックラバーストラップ ■手巻きトゥールビヨン ■3気圧(30m)防水 ■世界限定99本
ビッグ・バン ウニコ
クロノグラフ パーペチュアルカレンダー
キングゴールド セラミック
ベゼルと両サイドのリブやリューズ周囲にブラックセラミック、ケースとプッシュボタン等に鮮明なレッドの輝きを持つキングゴールドを採用した永久カレンダークロノグラフ。ムーブメントは自社開発・製造の自動巻きCal.HUB1270。
■406.OM.0180.RX ■45mm ■18Kキングゴールドケース ■ブラックラバーストラップ ■自動巻きクロノグラフ(自社開発・製造"UNICO")■3気圧(30m)防水
MP-07 40デイ パワーリザーブ
9個の連結香箱で約40日間のパワーリザーブを実現し、ケース右側面に垂直トゥールビヨンを装備する、技術の粋を尽くした超複雑モデル。ダイアル下部左側に時分と右側にパワーリザーブ表示、上部右側に秒をロール式で表示。
■907.ND.0001.RX ■51×42.95mm ■ブラックチタニウムケース ■ブラックラバーストラップ ■手巻きトゥールビヨン ■世界限定50本
Store Info
取り扱い店舗
YOSHIDA 東京本店
〒151-0072
東京都渋谷区幡ヶ谷2丁目13番5号 Google Map
営業時間 10:30~19:30
定休日 年中無休(年末年始を除く)
Tel. 03-3377-5401
Tel.03-3377-5401
名古屋 YOSHIDA
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営業時間 10:30~19:30
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