連載パテックフィリップへの誘い

第47回：さらなる深化を遂げた3つの「ワールドタイム」

　180年以上の歴史を持つ、世界最高峰の時計メーカーPatek Philippe（パテックフィリップ）。
　その正規販売店であり、長年の販売実績を持つ東京・渋谷区幡ヶ谷の老舗時計店 YOSHIDA（ヨシダ）が、
さまざまな角度からパテックフィリップという至高のマニュファクチュールの魅力を紐解いていく本連載。
　第47回は、「ウォッチーズ＆ワンダーズジュネーブ 2022」で発表された「ワールドタイム」の新作3本を紹介します。

※掲載商品の情報は変更される場合がございますのでご了承ください。

CASE.1　Ref.5230Pプラチナケースと
ネイビーブルーの邂逅

　パテックフィリップは1930年代から時計師ルイ・コティエとともに腕時計式ワールドタイムの開発に着手します。今日では“ルイ・コティエ式”と呼ばれるワールドタイム機構の長所は、シンプルな操作性と高い視認性を兼ね備えている点です。文字盤の中央には、通常の時刻を表示する時計、その外周のリングに24時間表記のリングを配置。この2つを連動させることで世界の主要都市を表示する機能を完成させたのです。

　ルイ・コティエの死後から数十年の月日を経て、1999年に完成した特許取得の機構は、10時位置のプッシュボタンを押すことで、すべての表示を1時間単位で同時に調整することを可能にしました。続いて、翌2000年に発表されたRef.5110によって、パテックフィリップの「ワールドタイム」は、次のステージへ辿り着いたのです。

　Ref.5110の後続機として2016年に現行コレクションに加わったRef.5230は、38.5mm径の小ぶりなサイズ感が人気のモデル。その最新作がプラチナケースにブルーの文字盤を備えたRef.5230Pです。文字盤の中央に施したサーキュラー・パターンのギヨシェ装飾、ネイビーブルーのヌバック調カーフスキンストラップは雰囲気作りに一役買っています。

ワールドタイム ■Ref.5230P ■38.5mm ■プラチナケース ■カーフスキンストラップ
■自動巻き（Cal.240 HU）■30m防水 ■価格はお問い合わせください

5110の文字盤をモチーフとした
サーキュラー・パターンのギヨシェ装飾。

プラチナケースの証明としてケース側面の6時位置には
ダイヤモンドが埋め込まれている。

CASE.2　Ref.7130オリーブグリーンを
採用したレディスモデル

　「コンプリケーションの巨匠」と謳われるパテックフィリップは、ワールドタイム搭載モデルをメンズ・レディスともに展開している稀有なブランドです。

　2011年に発表されたRef.7130は、「ワールドタイム」の伝統的なデザインを継承しつつ、ベゼルに62個、ピンバックルに27個のダイヤモンドを施すことで、レディスモデルらしい優雅な雰囲気を演出しています。

　この度、「ウォッチーズ＆ワンダーズジュネーブ 2022」で登場した新作は、18Kローズゴールドケースにオリーブグリーンの文字盤とカーフスキンストラップを合わせることでモダンな1本に仕上げています。

　18Kホワイトゴールドケース×ブルーグレー文字盤のモデルと同様、都市表示リングは読み取りやすさを重視し、都市名はホワイトで記載されています。マイクロローターを採用した超薄型の自動巻きムーブメントCal.240 HUを搭載することでケースの厚みをわずか8.83mmに抑えています。

ワールドタイム

■Ref.7130 ■36mm ■ダイヤ付き18Kローズゴールドケース（ベゼルとピンバックルを含め、約1.06カラット）■カーフスキンストラップ ■自動巻き（Cal.240 HU）■30m防水 ■価格はお問い合わせください

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オリーブグリーン文字盤の中央には、
手仕上げのギヨシェ装飾で古風な篭の編み目を再現。

27個のダイヤモンド（約0.21カラット）を
セッティングしたピンバックル。

CASE.3　Ref.5231クロワゾネ七宝で
描かれた世界地図を堪能

　最後に紹介するのは、文字盤の中央部にクロワゾネ七宝で多色世界地図を描いた希少なハンドクラフトモデルRef.5231。このスタイルは1950年代頃に製作された「ワールドタイム」にはじまり、これまで限定モデルなども含め、世界中のさまざまな地域が描かれています。

　新たに登場した18Kホワイトゴールドモデルの文字盤上に描かれた地図は、東南アジア・オセアニアの地域です。大陸や島の輪郭は極細の金線で形成し、その中に色の異なる釉薬を入れることで海と陸を再現していきます。一連の作業は専用の炉で繰り返し行われ、これによって美しい色合いやグラデーションを表現しています。

　パテックフィリップが長年培ってきた伝統工芸美の側面にフォーカスした１本は、発表と同時にコレクターズピースの仲間入りを果たしています。