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Column UP DATE: 2019. 02. 26

連載 高級時計を巡る旅

第5回:ロジェ・デュブイはなぜ売れるのか?

#ロジェ・デュブイ #エクスカリバー #YOSHIDA限定

 なによりも歴史を重んじるスイス時計業界において、
自社製ムーブメントを製造するマニュファクチュールを名乗れるのは、数百年もの長い歴史を刻んできた老舗の特権。
いわんや十数年に前に創業した新興ブランドが、ラグジュアリー&ハイエンドウォッチの隊列に加わる事など考えられなかった。
 しかしその常識は、1995年に創業したROGER DUBUIS(ロジェ・デュブイ)によって打ち砕かれる。
 YOSHIDA(ヨシダ)の店頭でも異彩を放つ新鋭ブランドの実力に迫る。

Photo: Masahiro Okamura(CROSSOVER) / Art Direction: Takaaki Yagi(FORM::PROCESS) / Text: Shinoda Tetsuo / Edit: Tsuneyuki Tokano
※こちらの特集は、時計専門サイト「Gressive(グレッシブ)」での連載コラム『YOSHIDAで体験する、高級時計への旅』の記事を再編集したものです。
※掲載商品の情報及び価格は変更される場合がありますのでご了承ください。

ラグジュアリー&ハイエンド
ウォッチ界の異端児が現る

 このブランドの出自はとても不思議だ。創業者は繊維業界で大成功を収めたカルロス・ディアス氏。時計愛好家だった彼は、理想とする時計を作るためにパートナーを組む、優秀な時計師を探していた。それがパテック フィリップで多くのコンプリケーションウォッチを担当し、その後独立して時計工房を開いていたロジェ・デュブイ氏だった。

 時計審美眼に長けたカルロス・ディアス氏と時計技術に通じたロジェ・デュブイ氏は、まずは95年ジュネーブに「ソジェム」という会社を立ち上げ、翌年に第一弾モデルをリリース。そして97年には早くもジュネーブ・サロンにてショーケース展示を行い、98年には社名を「ロジェ・デュブイ」とし、なんとジュネーブ・サロンに独自ブースを構えるに至るのだった。

ジュネーブ国際空港近くの街メイランに拠点を構える、
ロジェ・デュブイの工場。
工房はいたって近代的であるが、
しかし時計師の仕事は、あくまでも手作業が中心。

 しかしなぜ新進気鋭のブランドが、これほどのスピードで業界から認められ、大成功を収められたのだろうか? それは徹底的な品質主義が、老舗ブランドたちのお眼鏡にかなったからである。

 なんと初代モデルから一貫して、ジュネーブに伝わる時計技術を継承していることを示す証である「ジュネーブ・シール」を取得している。その当時、“全てがジュネーブ・シール取得”というブランドはロジェ・デュブイしか存在しなかった。新進ブランドでありながら、歴史に敬意を払いながら時計を作っているという姿勢が評価されたのだ。

 老舗ブランドさえも一目置くラグジュアリー&ハイエンドウォッチの新星は、創業から10数年で30以上の自社ムーブメントを持つほどの規模へと躍進を遂げる。しかもその多くがハイコンプリケーションウォッチというスイス屈指の技巧派へと、あっという間に駆け上るのだった。世界でも指折りの時計店であるYOSHIDAもポテンシャルの高さに多大な期待を寄せている。

どれだけモダンなムーブメントであっても
「ジュネーブ・シール」を取得する。それがロジェ・デュブイのこだわりだ。
  • ロジェ・デュブイの根幹ムーブメントCal.RD821。
    ロジェ・デュブイでは初となるCOSC認定クロノメーターを取得。
  • 近年力を入れているのが、星型ブリッジのスケルトンムーブメント。
    マイクロローターまでスケルトン仕上げにしており、見栄えへのこだわりが強く感じられる。

 圧巻の時計技術を武器に時計業界を席巻したロジェ・デュブイは、創業から10年以上に渡って独立資本を貫いてきた。しかし、高い品質を維持しつつ、時計愛好家から寄せられるたくさんのリクエストに応えることは容易ではない。そこで2008年に高級時計のコングロマリット「リシュモン・グループ」の傘下に収まることで時計製造の体制を進化させ、品質をブラッシュアップさせることにする。

 幅広いファン層の期待に応えるべく、ドレッシーウォッチからハイコンプリケーションまでを幅広く展開し、デザインではモダンさを追求。美しいムーブメントを美しいケースで覆い、腕元のアクセサリーとして効果を発揮する時計作りに力を入れ始める。それは、重厚な歴史を持たない新進ブランドだからこそ可能になった戦略でもあった。

 そもそもラグジュアリー&ハイエンドウォッチを作ることが可能なブランドは、どれもが老舗の名門ばかりであるため、歴史と伝統から逃れることが難しい。そんな中でもロジェ・デュブイだけは、自由にクリエイティビティを発揮できる。だからこそ、特別な存在になれたのだ。

複雑なトゥールビヨンを二つも搭載するのは、ロジェ・デュブイの十八番。
大胆なデザインも人気を集める理由だ。
複雑なトゥールビヨンを二つも搭載するのは、ロジェ・デュブイの十八番。
大胆なデザインも人気を集める理由だ。
  • roger dubuis ロジェ・デュブイ エクスカリバー スパイダー ダブル スプラング バランス RDDBEX0711
  • roger dubuis ロジェ・デュブイ エクスカリバー スパイダー ダブル スプラング バランス RDDBEX0711
  • roger dubuis ロジェ・デュブイ エクスカリバー スパイダー ダブル スプラング バランス RDDBEX0711

エクスカリバー スパイダー
ダブル スプラング バランス
自動車の世界からインスパイアされた非常に複雑なタイムピース。
ケースからムーブメントまで100%スケルトンであることが特徴だ。

■RDDBEX0711 ■45mm ■カーボンケース ■ラバー×ラバーテックストラップ ■手巻き
■50m防水 ■YOSHIDAスペシャル 限定5本

 奇しくも2007年頃からスマートフォンが市場に溢れはじめ、腕時計の存在意義が実用品から嗜好品へと大きく舵を切り始めた。その流れと歩みを合わせるようにロジェ・デュブイは、時計の伝統的な技術や仕上げを現代的に解釈した“スケルトンムーブメント”や“ダブルトゥールビヨン”によって、まさに時代の寵児となっていく。

 時計愛好家にはその複雑さと難解さで、時計に詳しくない富裕層に対してはビジュアルインパクトで衝撃を与える比類なきクリエイティビティは、“他にはないモノ”を探す人々にとって見逃がせない存在になっている。突如現れた、類まれなる高級時計界の異端児の動向に今後も注目したい。

Recommend Item

「異端児」の名にふさわしい
独創的なハイエンドウォッチ

 腕元を飾るドレッシーなモデルから異次元のレベルへと到達したコンプリケーションまで手がけるロジェ・デュブイのコレクション。その魅力を凝縮した4本の「YOSHIDAスペシャル」を紹介する。

roger dubuis ロジェ・デュブイ エクスカリバー スパイダー 45 オートマティック RDDBEX0715

エクスカリバー スパイダー 45
オートマティック

45mm径のケースがもたらす、大迫力のフルオープン文字盤。モノクロームの外装からもロジェ・デュブイ特有の色気が感じられる。

■RDDBEX0715 ■45mm ■チタニウムケース ■バイメタル×ラバーストラップ ■自動巻き ■50m防水 ■YOSHIDAスペシャル 限定28本

roger dubuis ロジェ・デュブイ エクスカリバー 42 オートマティックスケルトン RDDBEX0630

エクスカリバー 42
オートマティック スケルトン

ブランド初となる自動巻きムーブメントを採用したコレクションから強烈なインパクトを残すカラーリングの限定モデルが登場。

■RDDBEX0630 ■45mm ■ブラックDLCチタニウムケース ■アリゲーターストラップ ■自動巻き ■50m防水 ■YOSHIDAスペシャル 限定14本

roger dubuis ロジェ・デュブイ エクスカリバー 45 オートマティック RDDBEX0713

エクスカリバー 45 オートマティック

外装のすべてのパーツをブラックにすることで「エクスカリバー」の新たな魅力の側面を引き出した意欲作。精密なムーブメントの魅力も存分に堪能できる。

■RDDBEX0713 ■45mm ■チタニウムケース ■ラバーストラップ ■自動巻き ■50m防水 ■YOSHIDAスペシャル 限定15本

roger dubuis ロジェ・デュブイ エクスカリバー 45 オートマティック RDDBEX0714

エクスカリバー 45 オートマティック

フルオープンとは趣が異なるクローズドダイヤルにすることで、ロジェ・デュブイ流のシックな雰囲気を表現している。

■RDDBEX0714 ■45mm ■チタニウムケース ■ラバーストラップ ■自動巻き ■50m防水 ■YOSHIDAスペシャル 限定15本

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