UP DATE: 2019. 11. 29
連載 高級時計を巡る旅
第23回:ダイヤモンドの王、ハリー・ウィンストンの矜持
世界屈指のジュエラーであり、かつタイムピースの世界でも強い存在感を示すHARRY WINSTON(ハリー・ウィンストン)。
彼らがジュネーブの自社工場で生み出すタイムピースには、歴史と経験に培われたジェムセッティングの技術がふんだんに盛り込まれている。
その技術の原点を解き明かすとともに、時計店YOSHIDA(ヨシダ)が注目する数々のハイエンドウォッチを紹介する。
Photos: Masahiro Okamura(CROSSOVER) / Art Direction: Takaaki Yagi(FORM::PROCESS) / Text: Masaharu Nabata / Edit: Tsuneyuki Tokano
※こちらの特集は、時計専門サイト「Gressive(グレッシブ)」での連載コラム『YOSHIDAで体験する、高級時計への旅』の記事を再編集したものです。
※掲載商品の情報及び価格は変更される場合がありますのでご了承ください。
ジュエリー界に
革命をもたらした
ハリー・ウィンストンの偉業
ウォッチ・メーカーとしてのハリー・ウィンストン。その歴史は1989年にスタートしたが、その名はまず世界屈指のジュエラー(宝飾商)として多くの人々に知られた。
ハリー・ウィンストンの創業は1932年。それは宝石に関する並外れた知識と審美眼を兼ね備えたハリー・ウィンストン氏(1896~1978年)が、1932年に米国ニューヨークで創業したサロンから始まった。
そして1935年にハリー・ウィンストン氏は726カラットという巨大なダイヤモンド原石「ヨンカー」を入手。この「ヨンカー」は12個に分割され、中でも一番大きくカットされたものは、125.35カラットのエメラルドカット・ダイヤモンドとなったという。1938年には、これを上回る726.60カラットのダイヤモンド原石「ヴァルガス」を購入。ハリー・ウィンストンの名を世界に知らしめた。
- たった一代で巨万の富を築いた創始者のハリー・ウィンストン氏。
- 「キング・オブ・ダイヤモンド」と呼ばれていたハリー・ウィンストン氏の後ろ姿と莫大な宝石のコレクション。
このような巨大原石の入手だけでなく、ハリー・ウィンストンはジュエラーとして特筆すべき仕事をいくつも残している。そのひとつが1940年代にハリー・ウィンストンが生み出した先駆的なセッティング技法。これはダイヤモンドひとつひとつの輝きを最大限に引き出す技法であり、その後のブランドのジュエリー・デザインの基本を確立することとなった。
こうしてダイヤモンドを筆頭とするさまざまな宝石の魅力を引きだし、世界に伝え続けてきたハリー・ウィンストンは、1944年にアカデミー賞主演女優賞受賞の女優ジェニファー・ジョーンズにダイヤモンド・ジュエリーを貸し出したことで『スターたちのジュエラー』と呼ばれるようになる。この“事実”をさらに有名にしたのがマリリン・モンローだった。マリリンは彼女の主演した映画「紳士は金髪がお好き」(1953年)の中で、“教えて、ハリー・ウィンストン!私にダイヤモンドのすべてを!”と歌い、世界中の誰もが『スターたちのジュエラー』としてのハリー・ウィンストンの存在を認識したのである。
その後もハリー・ウィンストンは世界のトップに位置するジュエラーとしての数々の偉業を残す。たとえば1949年には45.52カラットという世界最大級のブルーダイヤ「ホープ」を入手。これは1958年、米国スミソニアン博物館に寄贈されるが、1963年には127.01カラットの「ポーチュギーズ・ダイヤモンド」を、1964年には、253.7カラットというイエローダイヤモンド原石「オッペンハイマー」を同じくスミソニアン博物館に寄贈している。
アヴァンギャルドで
スポーティな
「HW オーシャン」
コレクション
このような数々の偉業を成し遂げたハリー・ウィンストンは1989年、初のウォッチコレクションを発表し、時計界に参入した。2001年には独立時計師とのコラボレーションにより実現した独創的かつ革新的なタイムピース「オーパス」シリーズをスタートさせ、前衛的な時計を次々に世に送り出すことで、世界中の時計愛好家を驚かせたのである。
このようなアヴァンギャルドなタイムピースを生み出すハリー・ウィンストンのスピリットを端的に表現したのが「HW オーシャン」である。このコレクションの特徴は、時刻の表示システムがノーマルな時計と異なり、針をセットするのが中心軸をはずしたオフセンター・デザインであったり、レトログラードと呼ばれる前進と退行を繰り返す針による表示など、極めて斬新で大胆な機構が採用されている。
HW オーシャン・スパークリング
バイレトログラード オートマティック 42mm
スポーティ&エレガンスを具現化したブランド初となるルテニウムクリスタルをダイヤルに採用したモデル。
創始者であるハリー・ウィンストン氏のダイヤモンドへの情熱を表現する装飾は見応えがある。
2つのレトログラードとオフセンターの時分表示が見る人を惹きつける。
■OCEABI42RR003 ■42.2mm ■18Kローズゴールドケース ■アリゲーターストラップ
■総カラット:127個のRBCダイヤモンド(約0.4カラット)、91個のバゲットカット・ダイヤモンド(約4.41カラット)
■自動巻き ■10気圧防水 ■世界限定20本 ■¥19,107,000(税込)
ここで紹介する「HW オーシャン・レトログラード オートマティック 42mm」は、その名称が示すとおり、時と分の表示にそれぞれレトログラード方式が採用されている。
レトログラードとはフランス語で退行を示し、扇状の目盛を針が進んで時や分を示し、それが頂点(時の場合は12時、分は60分)に到達すると瞬時にゼロ位置に復帰すると同時に、再び前進して時を刻み出す、という複雑システムだ。
そして、さらにこのモデルでは時計全体で91個(合計約4.41カラット)ものバゲットカットダイヤモンドがセットされており、目映いばかりの輝きを放っている。
HW オーシャン・レトログラード オートマティック 42mm
時と分をそれぞれ別のレトログラード針で表示する独創的なメンズウォッチ。日付表示は文字盤外周部に書かれた1から31までの数字の下に白いマーカーが移動することで示す。
■OCEAHR42WW001 ■42.2mm ■18Kホワイトゴールドケース ■アリゲーターストラップ ■総カラット:91個のバゲットカットダイヤ(約4.41カラット) ■自動巻き ■10気圧防水 ■世界限定20本 ■¥17,303,000(税込)
HW オーシャン・レトログラード オートマティック 42mm
時刻表示にダブル・レトログラード方式を採用したハリー・ウィンストンならではのタイムピース。ダイアル中央部の意匠はハリー・ウィンストン創業地であるニューヨークを象徴するマンハッタン・ブリッジがモチーフ。
■OCEAHR42RR002 ■42.2mm ■18Kローズゴールドケース ■アリゲーターストラップ ■総カラット:91個のバゲットカットダイヤ(約4.41カラット) ■自動巻き ■10気圧防水 ■世界限定20本 ■¥17,160,000(税込)
神秘的な
月の魅力を取り込んだ
華やかなレディスウォッチ
世界のトップに君臨するジュエラーでありながら、時計作りにおいても卓越した手腕を発揮するハリー・ウィンストン。彼らのタイムピースにはジュエリーで培った豊富な 経験と技術が遺憾なく発揮されている。そしてもうひとつ、ハリー・ウィンストンのタイムピースには彼らの歴史と伝統を継承する重要なモチーフがある。それがニューヨークのハリー・ウィンストン本店ファサード(正面入口)のアーチだ。
このアーチのモチーフは「HW アヴェニュー」では、ケース上下にあしらわれ、ブレスレットのコマにも取り入れられている。また「HW アヴェニュー」のストレートなレクタンギュラー(長方形)・ケースはハリー・ウィンストンのシンボルである本店が誕生したニューヨーク5番街へのオマージュだという。
HW アヴェニュー・クラシック エリプティック
時計本体からブレスレットまで埋め尽くされた約8.34カラットにも及ぶダイヤモンドは圧巻の一言。
洗練されたフォルムがその魅力を一層引き出している。
■AVEQHM21WW249 ■21×36.1mm ■18Kホワイトゴールドケース&ブレスレット
■総カラット:312個のRBCダイアモンド(総8.34カラット) ■クオーツ ■3気圧防水 ■¥16,280,000(税込)
そして2019年発表の新作「HW アヴェニュー・クラシック ムーンフェイズ」では真珠母貝(マザー・オブ・パール)にハンドペイントを施したダイアルが採用されている。
真珠母貝とは文字通り“真珠を育てる貝”のこと。この「真珠母貝」にはアコヤガイ(阿古屋貝)やシロチョウガイ(白蝶貝)、アバロン(アワビ)などがあり、これらの貝の殻を薄くスライスしたものが時計のダイアルに用いられる。
その魅力の根源は天然素材ならではの深い輝きと予測のつかないランダムな模様。特にこの新作では、12時位置のロゴを中心にセットされたダイヤモンドから2色のグラデーションを施したマザー・オブ・パールを放射状に並べることで光が広がる情景を表している。
この光の先にあるのがムーンフェイズ・インジケーター。月の満ち欠けを示すこの機構は極めてポエティック(詩的)なコンプリケーションである。
しかも、このムーンフェイズの下に配されたスモールセコンドのラインやケースにもダイヤモンドをセッティングすることで、より一層の華やかさとエレガンスを表現することにも成功している。
HW アヴェニュー・クラシック ムーンフェイズ
ツートンカラーのブルーに彩られたマザー・オブ・パールのダイアルをベースに、ダイヤモンドとホワイトゴールドの輝きが美しいエレガンスを表現する最上級のタイムピース。
■AVEQMP21WW004 ■21.4×36.1mm ■18Kホワイトゴールドケース&ブレスレット ■総カラット:78個のRBCダイアモンド(総2.34カラット) ■クオーツ ■3気圧防水 ■¥8,591,000(税込)
HW アヴェニューCミニ・ムーンフェイズ
ミニ・サイズのレディース・ウォッチでありながら、最もポエティックなコンプリケーションであるムーンフェイズを搭載するエレガントなレディース・ウォッチ。
■AVCQMP16WW003 ■15.6×32.3mm ■18Kホワイトゴールドケース&ブレスレット ■総カラット:259個のRBCダイアモンド(総2.81カラット) ■クオーツ ■3気圧防水 ■¥8,327,000(税込)
ダイヤモンドの巨匠
ハリー・ウィンストンによる
メンズ&レディスの
注目モデル5選
"キング・オブ・ダイヤモンド"の異名にふさわしい輝きを放つ、ハリー・ウィンストンのウォッチコレクション。ジュエリー&時計製造の両輪を極めた結果行き着いた境地がここにある。
HW オーシャン・バイレトログラード オートマティック 42mm
12時位置インダイアルの時分表示に加え、レトログラード式秒表示とレトログラード式曜日表示、6時位置の日付表示を搭載する複雑モデル。マザー・オブ・パールのダイアル、そしてベゼルやラグ等に合計367個(約4.50カラット)のラウンド・ブリリアントカット・ダイヤモンドがセットされている。
■OCEABI42WW002 ■42mm ■18Kホワイトゴールドケース ■アリゲーターストラップ ■総カラット:367個のRBCダイアモンド(総4.50カラット) ■自動巻き ■10気圧防水 ■¥11,957,000(税込)
HW アヴェニュー・クラシック エリプティック
ダイアルやケースサイドにまで合計4.45カラットのダイヤモンドを華麗にセットしたレディース・ウォッチ。レクタンギュラーケースと、ダイヤルにあしらわれたオーバルモチーフが気品ある対比を織り成している。
■AVEQHM21WW241 ■21.0×36.1mm ■18Kホワイトゴールドケース ■アリゲーターストラップ ■総カラット:174個のRBCダイアモンド(総4.45カラット) ■クオーツ ■3気圧防水 ■¥7,381,000(税込)
HW アヴェニュー・ダイヤモンド ドロップ
あたかも天上から降り注いだダイヤモンドが積もったかのようなイメージを与える美しいジェムセッティングが持ち味。合計158個 (約2.53カラット)ものラウンド・ブリリアントカット・ダイヤモンドで華やかに装飾されている。
■AVEQHM21WW280 ■21.0×36.1mm ■18Kホワイトゴールドケース ■アリゲーターストラップ ■総カラット:158個のRBCダイアモンド(総2.53カラット) ■クオーツ ■3気圧防水 ■¥6,105,000(税込)
HW アヴェニューCミニ・ムーンフェイズ
月の満ち欠けを表すムーンフェイズ・インジケーターを備えるエレガントで詩的なモデル。ダイヤル中央に施されたギョーシェ模様や、レイルウェイのミニッツトラックがクラシックな雰囲気を醸し出す。
■AVCQMP16RR001 ■15.6×32.3mm ■18Kローズゴールドケース ■アリゲーターストラップ ■総カラット:53個のRBCダイアモンド(総0.70カラット) ■クオーツ ■3気圧防水 ■¥2,981,000(税込)
HW ミッドナイト・オートマティック 39mm
シャンパン・ゴールドのダイアルには3時、6時、9時、12時の位置にダイヤモンドを施したバーインデックスと、6時位置に丸窓の日付表示を配置。ラウンド・ブリリアントカット・ダイヤモンドが繊細にセットされたラウンド型ケースは、タイムレスな魅力を放つ。
■MIDAHD39RR003 ■39mm ■18Kローズゴールドケース ■サテンストラップ ■総カラット:103個のRBCダイアモンド(総0.94カラット) ■自動巻き ■3気圧防水 ■¥4,070,000(税込)
Store Info
取り扱い店舗
YOSHIDA 東京本店
〒151-0072
東京都渋谷区幡ヶ谷2丁目13番5号 Google Map
営業時間 10:30~19:30
定休日 年中無休(年末年始を除く)
Tel. 03-3377-5401
Tel.03-3377-5401
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