UP DATE: 2020. 04. 30
連載 パテック フィリップへの誘い
第19回:控えめなエレガンスを宿す理由【前編】
180年以上の歴史を持つ、世界最高峰の時計メーカーPatek Philippe(パテック フィリップ)。
その正規販売店であり、世界を代表する時計店 YOSHIDA(ヨシダ)が、
さまざまな角度からパテック フィリップという至高のマニュファクチュールの魅力を紐解いていく本連載。
第19回は、自動巻きのムーブメントの卓越性に触れながら、パテック フィリップの製品が宿す“控えめなエレガンス”の秘密に迫ります。
※掲載商品の情報は変更される場合がございますのでご了承ください。究極の“実用美”を追求した
パテック フィリップの
ムーブメント
高級時計の製造において、時に小宇宙に例えられるムーブメントの完成度とは、言うまでもなく精度の高さだけで計れるものではありません。
スイス・時計界の至宝・パテック フィリップが手がける全15種類にも及ぶ多彩な陣容を誇る基本キャリバーは、180年以上もの歴史の間で磨き上げてきた技術の集大成であり、タイムピースの真の美しさを物語る重要なパーツです。
気が遠くなるような過程を経て完成するこれらのムーブメントは、「パテック フィリップ・シール」と呼ばれるパテック フィリップが独自に定めた厳格な認定基準(ムーブメントのみならず、アフターサービスを含む時計に関わるすべての事柄を対象とする)を記した品質ラベルが物語るように、この世界におけるパテック フィリップの特権的地位を証明するものにほかなりません。
これまでの時計品質ラベルをすべて上回る厳格な基準を設けている。
これまでの時計品質ラベルをすべて上回る厳格な基準を設けている。
「ムーブメントは機能的でなければなければなりません。一部のメーカーがやっているように不要な彫刻をつけ加えることは、受けの本来持っている力を削ぐものです」。
こちらのコメントは、パテック フィリップ現名誉会長フィリップ・スターン氏のムーブメントの受け(ブリッジ)に対する貴重なインタビューを抜粋したもので、続いて氏はこのように語ります。
「私はいつもブガッティの車に讃嘆させられます。ブガッティのエンジンは、クリーンでシンプルで、余計な装飾は一切ありません。パテック フィリップのムーブメントは同じ哲学に基づいています。機能的でシンプルで、しかもエレガントなのです」
今回の特集では、2004年に発表されたパテック フィリップの自動巻きのフラッグシップであるCal.324、1977年の誕生した超薄型自動巻ムーブメントCal.240に焦点を当て、3つのセクションを設け、注目のモデルを取り上げます。
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ジャイロマックス・テンプを備え、
振動数毎時28,800振動という最高レベルの巻き上げ効率を実現したCal.324。 -
最小の厚みと直径を目指したCal.240は、
22金ゴールドの偏心マイクロローターにより総厚を2.53mmの抑えることに成功。
PART.1「永久カレンダー☓
自動巻き」という
最良の選択
パテック フィリップが擁するグランド・コンプリケーションを代表をするコレクションのひとつである「永久カレンダー」は、類を見ないほどの多彩なバリエーションを持つことで知られています。
現行コレクションに関しては、搭載されるムーブメントはすべて自動巻きであり、これはつまるところ、1461日のサイクルで一周し、月により異なる日数を忠実に再現する永久カレンダー機構の実用性を引き上げるための最適な判断だと言え、そこから生まれる魅力的なスタイリングは新たな価値を創出しています。
永久カレンダー
パテック フィリップ現名誉会長フィリップ・スターン氏が開発の指揮を取り、無類のロングセラーとして人気を博した名作Ref.3940。その後続機であるRef.5327は「永久カレンダー」の現行コレクションを中核を担う最もスタンダードなモデルです。大変複雑な永久カレンダー機構を搭載しながら9.71mmのケース厚を実現させている理由は、マイクロローターを採用した超薄型自動巻ムーブメントCal.240 Qの恩恵にほかなりません。
■Ref. 5327 ■39mm ■18Kホワイトゴールドケース ■アリゲーターストラップ ■自動巻き(Cal.240 Q)■30m防水 ■価格はお問い合わせください
永久カレンダー
パテック フィリップ・ミュージアムに展示されている1940~50年代のタイムピースからインスピレーションを得て製作されたRef. 5320は、数ある「永久カレンダー」のコレクションの中でも極めてユニークな1本です。三重の段差が施されたラグを設けたケースに収まるのは、このモデルのために生まれた曜日・月を並べて窓表示し、日付を指針表示するCal.324 S Q。ムーブメントを覆う重厚感に溢れた21金ゴールドのローターは、美観とともに抜群の精度を約束します。
■Ref. 5320 ■40mm ■18Kホワイトゴールドケース ■アリゲーターストラップ
■自動巻き(Cal.324 S Q)■30m防水 ■価格はお問い合わせください
PART.2最も実用的な
複雑機構を支える
Cal.324の実力
複雑な機構であるほどベースムーブメントの質が問われることが機械式時計の常識だとするなら、最高の巻き上げ効率を可能にしたゴールド製のセンターローターを備えたCal.324はこの条件を完璧に満たします。
パテック フィリップ屈指の有用なコンプリケーションである「年次カレンダー」に搭載されるほとんどのモデルは、Cal.324を基盤にしたモジュール構造の自動巻きキャリバーを採用しており、これがあるからこそ多彩なデザインのバリエーションを生み出すことが可能になるのです。
年次カレンダー
カラトラバ・スタイルに通じる美しいケースフォルム、ケース厚11.36mmの適度なボリューム感、そこに連なるラグジュアリーな素材使いと三拍子揃った人気のRef.5205。モジュール構造による自動巻きムーブメントは、年に1回の日付調整により、曜日、日付、月名を表示する「年次カレンダー」が持つ機能をもたらします。3本あるうちのお薦めは、6字位置のムーンフェイズが映えるローズゴールド☓ラック・ブラック文字盤です。
■Ref.5205 ■40mm ■18Kローズゴールドケース ■アリゲーターストラップ ■自動巻き(Cal. 324 S QA LU 24H)■30m防水 ■価格はお問い合わせください
年次カレンダー
メンズモデルを若干のサイズダウンした38mm径のケースサイズで展開するRef.4947。「年次カレンダー」が持つ機能はそのままに、鮮やかな色彩やダイヤモンドセッティングなどによって、レディスモデルらしい華やぎを加えています。
■Ref.4947 ■38mm ■ダイヤ付き18Kローズゴールドケース(リュウズを含め、約1.34カラット) ■アリゲーターストラップ ■自動巻き(Cal.324 S QA LU)■30m防水 ■価格はお問い合わせください
PART.3薄型のケースから
生まれる
スポーツウォッチの
品格
今から遡ること1976年、「ノーチラス」の登場からはじまったパテック フィリップによるスポーツウォッチの提案。徹底的にこだわり抜いた外装の仕上げと同様、可能な限り薄く整えたケースフォルムは、ドレスウォッチ顔負けのエレガンスを演出することに成功しています。
双璧をなす2大人気コレクション、「ノーチラス」と「アクアノート」の注目モデルを交え、その実力を検証します。
ノーチラス
れっきとしたスポーツウォッチでありながら、スーツでも違和感なく合わせられるRef.5712。ムーンフェイズを表示する自動巻き機構を搭載しながらケース厚をわずか8.52mmに抑えられた理由は、ベースムーブメントであるCal.240の優れた設計にほかなりません。
■Ref.5712 ■40mm(10-4時方向) ■18Kホワイトゴールドケース ■アリゲーターストラップ ■自動巻き(Cal.240 PS IRM C LU)■60m防水 ■価格はお問い合わせください
アクアノート・エクストララージ
2007年に登場した3針モデルRef. 5167は、最高の精度を誇るCal.324 のポテンシャルを活かし、同シリーズのメンズコレクションで最も薄い8.1mmのケース厚を実現しています。ブラウンを基調としたローズゴールドのモデルはカジュアルな着こなしのクラスアップにも最適です。
■Ref. 5167 ■40mm(10-4時方向) ■18Kローズゴールドケース ■ラバーストラップ ■自動巻き(Cal.324 S C) ■120m防水 ■価格はお問い合わせください
Store Info
取り扱い店舗
YOSHIDA 東京本店
〒151-0072
東京都渋谷区幡ヶ谷2丁目13番5号 Google Map
営業時間 10:30~19:30
定休日 年中無休(年末年始を除く)
Tel. 03-3377-5401
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