UP DATE: 2020. 08. 31
連載 パテック フィリップへの誘い
第23回:グランド・コンプリケーション 2020年新作


180年以上の歴史を持つ、世界最高峰の時計メーカーPatek Philippe(パテック フィリップ)。
その正規販売店であり、世界を代表する時計店 YOSHIDA(ヨシダ)が、
さまざまな角度からパテック フィリップという至高のマニュファクチュールの魅力を紐解いていく本連載。
第23回は、先日発表されたグランド・コンプリケーションの最新作3本を紹介します。
世界中が発表を待ち望んだ
パテック フィリップの
最新作
2020年初頭に竣工した新工場「PP6」の門出を祝う「カラトラバ」の限定モデルRef.6007Aのリリースに続き、去る7月、パテック フィリップは2020年の新作として、永久カレンダー搭載クロノグラフ Ref.5270、スプリット秒針クロノグラフ Ref.5370P、ミニット・リピーター・トゥールビヨン Ref.5303の3本をオンライン上で発表しました。
新型コロナウィルスの世界的なパンデミックの最中、パテック フィリップがバーゼルワールドの撤退するというニュースから年内の新作発表が不透明だったこともあって、今回のローンチはとても大きな意味を持つ出来事でした。
いずれの新作もグランド・コンプリケーションの名に恥じない素晴らしい出来栄えで、これは本物の価値を知る世界中の時計愛好家にとって、何にも勝る朗報であったに違いありません。
オーソドックスを極めた
イエローゴールド製のRef.5270
今回発表されたグランド・コンプリケーションの新作3本のうち、王道にしてスタンダードなモデルが、永久カレンダー搭載クロノグラフ Ref.5270。
懐中時計の時代に誕生した永久カレンダー搭載クロノグラフは、パテック フィリップの伝統そのものであり、1941年初出の初代Ref.1518を筆頭に、これまで手掛けたモデルはすべて記念碑的なマスターピースとして、世界中のコレクターから絶大な評価を得ています。
2011年に登場したRef.5270は、パテック フィリップ初の自社開発・製造による永久カレンダー搭載クロノグラフ専用ムーブメントCal.CH 29-535 PS Qをはじめて搭載したモデルです。

6時位置に配したムーンフェイズ。
これまで幾度かのモデルチェンジが行われ、これまで発売されていたのは、プラチナケースのRef.5270Pで2型、ブレスレット装着したローズ・ゴールド製のモデルRef.5270/1の計3本。
そこへ新たに加わったのが、高級時計では非常にオーソドックスな、イエローゴールドケースとシルバー・オパーリン文字盤を備えたこちらの1本です。
腕時計に明るい方であればあるほど、この組み合わせを見た時に、どこか懐かしい雰囲気を感じられるかと思います。
永久カレンダー搭載クロノグラフ
美しいレイアウトと視認性を両立するRef. 5270の文字盤の魅力を最大限に引き出す、
シルバー・オパーリン文字盤とそれを覆うイエローゴールドケースは、まさに高級時計の王道を行く組み合わせなのです。
■Ref. 5270 ■41mm ■18Kイエローゴールドケース ■アリゲーターストラップ
■手巻き(Cal.CH 29-535 PS Q)■30m防水 ■価格はお問い合わせください

パテック フィリップならではの
ムーブメントの仕上げ。
鮮やかなブルーで
Ref.5370Pが生まれ変わる
数あるグランド・コンプリケーションの最上位モデルにあたるスプリット秒針クロノグラフは、永久カレンダー搭載クロノグラフと双璧をなす、「クロノグラフの極み」というべきモデルにほかなりません。その歴史は古く、腕時計では1923年から製造を開始しています。
2005年に登場したRef.5959に搭載されたCal.CHR 27-525 PSは、パテック フィリップ初の自社開発・製造のクロノグラフ・ムーブメントであると同時に、世界で最も薄いコラムホイール式スプリット秒針クロノグラフ専用ムーブメントとして記録に刻まれています。
このような文脈を受け継ぐRef.5370Pから待望の新作が登場。前作が「黒」を基調にしていたことに対し、このモデルは「青」を起用することで鮮やかな印象を強めています。
スプリット秒針クロノグラフ
見るからにクラシックな顔立ちのRef.5370P。計器としての本質的な機能を備えつつ、徹底した手仕事にこだわることで独自の世界観を具現化。クロノグラフの頂点を極めたモデルにふさわしいプラチナケースを採用。
■Ref.5370P ■41mm ■プラチナケース ■アリゲーターストラップ ■手巻き(Cal.CHR 29‑535 PS)■30m防水 ■価格はお問い合わせください
美しい色彩を表現する上で素材使いへのこだわりは欠かせません。文字盤には、基盤となるプレートに釉薬を幾層にも重ね、800℃以上の高温にて焼成する本七宝を採用。同系色のアリゲーターストラップと重なることで、独自のラグジュアリー感を演出しています。
現行コレクションに
新たに加わった
話題作Ref.5303
おそらく新作3本の中で最も注目度が高いモデルが、この度現行コレクションの仲間入りを果たしたミニット・リピーター・トゥールビヨン Ref.5303でしょう。
このモデルが発表されたのは、昨年行われたイベント「ウォッチアート・グランド・エグジビジョン・シンガポール 2019」。シンガポールの国旗にインスパイアされた赤を差し色に用いた限定12本という超稀少モデルとして、センセーショナルな話題を巻き起こしました。
Ref.5303が限定モデルという話題性よりも多くの関心を集めたのは、パテック フィリップ初の“文字盤からチャイム機構を鑑賞できるタイムピース”であったことが理由に挙がります。
この素晴らしい仕様は、チャイム機構をこよなく愛する時計愛好家に新たな夢と目標を与え、グランド・コンプリケーションのラインナップに新たな息吹を与えることに成功しました。
ミニット・リピーター・トゥールビヨン
ミニッツ・リピーターとトゥールビヨンの2つの超複雑機構がかつてない形で融合した話題作Ref. 5303。カラーパレットを落ち着かせることで一段とシックに仕上げています。
■Ref. 5303 ■42mm ■18Kローズケース ■アリゲーターストラップ ■手巻き(Cal.Cal.R TO 27 PS)■非防水(湿気・埃にのみ対処) ■価格はお問い合わせください
Ref.5303を現行コレクションに迎えるにあたって、完全主義を貫くパテック フィリップは仕様について、いくつかの変更点を加えています。
そのひとつが、“色調”です。時計全体のアクセントとして機能していた「赤」に変わって、アワーサークルと指針に「黒」を取り入れることで、前作と異なる印象に仕上げています。
さらには、ムーブメントのCal.R TO 27 PSには、微細な調整を施し、一部のパーツを切り抜くことでより美しい姿で鑑賞できるように工夫を凝らしています。
「時を楽しむためのツール」の究極を目指した新たなチャイム・ウォッチは、唯一無二の存在感とともに、世代を超えて語り継がれるコレクターズアイテムとして、時計界に末永く君臨し続けていくことでしょう。

YOSHIDA 東京本店
住所/東京都渋谷区幡ヶ谷2-13-5 Google Map
電話/03-3377-5401
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営業時間/10:00~20:00
休業日/年中無休(1月1日~1月3日を除く)
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