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Column UP DATE: 2020. 05. 29

連載 パテック フィリップへの誘い

第20回:控えめなエレガンスを宿す理由【後編】

#パテック フィリップ #永久カレンダー #年次カレンダー #クロノグラフ #カラトラバ #レディス #ワールドタイム #ゴールデン・エリプス

 180年以上の歴史を持つ、世界最高峰の時計メーカーPatek Philippe(パテック フィリップ)。
 その正規販売店であり、世界を代表する時計店 YOSHIDA(ヨシダ)が、
さまざまな角度からパテック フィリップという至高のマニュファクチュールの魅力を紐解いていく本連載。
 第20回は、前回の特集に続き、ムーブメントにまつわる話題を中心に、
パテック フィリップの製品が宿す“控えめなエレガンス”の秘密に迫ります。

※掲載商品の情報は変更される場合がございますのでご了承ください。

「時計界の宝石」と
形容される
パテック フィリップの
名キャリバー

 機械式時計のクオリティを推し量る要素のひとつとして、ムーブメントは非常に大きなウェイトを占めるものであり、機能性のみならずデザインに大きな影響を及ぼします。

 パテック フィリップが本格的に腕時計の製作へ舵を切ったのは、「スターン兄弟文字盤製作所」のオーナーであったスターン兄弟がパテック フィリップの経営権を取得した1932年まで遡ります。

 彼らは技術部長としてジョン・フォスターを迎え、自社開発の腕時計専用ムーブメントの創作に力を注ぎ、創業者のジャン・アドリアン・フィリップが発明したリュウズ巻き上げ式懐中時計を源流とするキャリバーの開発に次々と成功。その結果として、パテック フィリップの工房から時計史にその名を刻む数多くの傑作が世に送り出されたことは、誰もが知るところでしょう。

パテック フィリップ・シール

現行コレクションのすべてのムーブメントには、
パテック フィリップが独自に定めた
厳格な認定基準を記した品質ラベル
「パテック フィリップ・シール」が刻まれている。

 200種類以上にも及ぶパテック フィリップの現行コレクションが持つ多様性は、長年にわたる小さな改良の集積から生まれた全15種類の基本キャリバー(このうち2つは懐中時計用)から派生していると言っても過言ではありません。目に見えない部分まで一切の妥協を許さない美しいパーツの仕上げはパテック フィリップの矜持であり、同社の時計が超一流であることを証明しています。

 次項から、“ムーブメントにまつわる3つのテーマ”を設け、パテック フィリップが究めたエレンガンスの真髄を紐解きます。


PART.1“カラトラバ伝説”を
継承する
手巻きムーブメント
Cal.215

 時代を超越した輝きを放つ究極のシンボルであり、はじまりの1本である初代カラトラバRef.96が後世に残した功績は計り知れません。究極のラウンドウォッチが持つ、約30.5mmのケース径、黄金比さながらの文字盤のレイアウトなどの特徴は、ムーブメントのフォルムに基づいて誕生したと伝え聞きます。

 1970年代前半まで製造されたロングセラーRef.96を支えた代表的なムーブメントのひとつであるCal.12 120が誕生したのは、Ref.96の発表から2年後にあたる1934年のことでした。この伝説的な直径27mmのラウンド型の手巻きキャリバーは、優雅な受けのカーブと大型のチラネジテンプ、微調整が可能なスワンネック緩急針を備え、毎時1万8000回振動による高い精度を実現し、今では伝説的な名機として語り継がれています。

ムーブメントCal.215 厚さ2.55mmの超薄型手巻きムーブメントCal.215。
シンプルな構造ゆえ、機能美が一段と際立っている。
ムーブメントCal.215 厚さ2.55mmの超薄型手巻きムーブメントCal.215。
シンプルな構造ゆえ、機能美が一段と際立っている。

 Cal.12 120の文脈を受け継ぐ手巻きムーブメントCal.215は、「カラトラバ」の本質的なエレガンスを表現する薄型のケースと対を成す存在だと言えるでしょう。毎時2万8800回振動、約44時間のパワーリザーブという現代的なスペックも注目すべきポイントです。

Patek Philippe パテック フィリップ カラトラバ Ref.5196

カラトラバ

現行コレクションの中で「カラトラバ」の伝統を最も色濃く受け継ぐモデルがRef. 5196です。ちなみに搭載されている手巻きムーブメントCal.215 PSの「PS」はスモールセコンドであることを意味します。ホワイトゴールドケースはシックな表情ゆえ、幅広いシーンでの着用が可能です。

■Ref.5196 ■37mm ■18Kホワイトゴールドケース ■アリゲータストラップ ■手巻き(Cal.215 PS)■30m防水 ■価格はお問い合わせください

Patek Philippe パテック フィリップ カラトラバ Ref.5196
Patek Philippe パテック フィリップ カラトラバ Ref.4897

カラトラバ

Cal.215の優れた汎用性はレディスモデルでもポテンシャルを発揮し、薄型のカラトラバ・ケースにはローズゴールドの優雅な雰囲気がよく馴染みます。クリームカラーの文字盤にはギヨシェ彫りが施されていたりと手の込んだ仕上げにも注目。

■Ref.4897 ■33mm ■ダイヤ付き18ローズゴールドケース(約0.47カラット) ■サテンストラップ ■手巻き(Cal.215)■30m防水 ■価格はお問い合わせください

PART.2超薄型自動巻き
ムーブメント
Cal.240が生み出す
エレガンス

 前回の特集でも取り上げた1977年に登場した自動巻きムーブメントCal.240は、パテック フィリップの腕時計が持つ可能性を広げた偉大な発明のひとつです。クオーツショックの最中、わずか6ヶ月という開発期間にも関わらず、完璧な機能を満たしていました。

 Cal.240が誇るべき最大の長所は、22金偏心マイクロローターを搭載することで実現した2.53mmの厚さであり、今やパテック フィリップの時計製造において欠かせない存在となっています。

Cal.240 最小の厚みと直径を目指したCal.240は、
マイクロローターにより総厚を極限まで抑えている。
Cal.240 最小の厚みと直径を目指したCal.240は、
マイクロローターにより総厚を極限まで抑えている。

 派生ムーブメントを含め、これまでCal.240は40年以上にもわたり、パテック フィリップが擁する歴代のフラッグシップモデルに搭載されてきました。その一例として、ここでは「ゴールデン・エリプス」と「ワールドタイム」の2つのコレクションを取り上げます。

 1968年に登場した「ゴールデン・エリプス」が持つユニークな楕円型のケースは、完璧なプロポーションを数学的に定義した黄金分割からインスピレーションを得て創作されました。タイムレスなデザインは今も変わることなく現行モデルRef.5738に引き継がれています。この美しいフォルムやわずか5.9mmのケース厚を自動巻き機構で実現するためにCal.240は必要不可欠です。

 1930年代からラインナップに加わった複雑機構の古典「ワールドタイム」。現在のプッシュボタンのスタイルが確立されたのは、2000年に登場したRef.5110がはじまりでした。その当時からCal.240 HUは採用されており、3.88mmに抑えたムーブメントの厚みが外装にもたらす恩恵は究極のエレガンスにほかなりません。

  • Patek Philippe パテック フィリップ ゴールデン・エリプス Ref.5738
  • Patek Philippe パテック フィリップ ゴールデン・エリプス Ref.5738
  • Patek Philippe パテック フィリップ ゴールデン・エリプス Ref.5738

ゴールデン・エリプス 「ゴールデン・エリプス」の誕生50周年を記念して登場したRef.5738のローズゴールドバージョン。
シャイニーな文字盤とのエボニーブラック・ソレイユ文字盤との組み合わせることで独特の温かみを演出しています。
今もなお愛好家やコレクターが愛してやまないファーストモデルから踏襲したラージサイズを採用している点も注目に値します。

■Ref.5738 ■34.5☓39.5mm ■18Kローズゴールドケース ■アリゲーターストラップ
■自動巻き(Cal.240)■30m防水 ■価格はお問い合わせください

商品詳細はこちら

Patek Philippe パテック フィリップ ワールドタイム Ref.5230

ワールドタイム

直径38.5mmのコンパクトなサイズが人気のRef.5230。ケースを適度なボリュームに収めるためには、マイクロローターを備えた超薄型自動巻きムーブメントCal.240 HUが欠かせません。こちらのホワイトゴールドのケースを選べば幅広いシーンでの活躍が確約されます。

■Ref.5230 ■38.5mm ■18Kホワイトゴールドケース ■アリゲーターストラップ ■自動巻き(Cal.240 HU)■30m防水 ■価格はお問い合わせください

Patek Philippe パテック フィリップ ワールドタイム Ref.5230

PART.3珠玉のクロノグラフと
自社製ムーブメントの
関係

 パテック フィリップにとって、クロノグラフの創造はいつの時代も変わらない最重要テーマのひとつ。

 今に限った話ではありませんが、複雑極まりないクロノグラフ専用ムーブメントの開発はあらゆる時計メーカーにとっての難題であり、「クロノグラフの巨匠」と呼ばれているパテック フィリップであっても例外ではありません。

 創造には時間を要します。長期にわたる研究を重ね、パテック フィリップは2005年に自社製造・開発によるクロノグラフRef.5959をついに発表します。このモデルのために製作された超薄型の手巻きムーブメントCal.CH R 27-525 PSは、“世界で最も薄いスプリット秒針クロノグラフ”として絶大な称賛を浴びました。

Cal.CH R 27-525 PS 2005年当時は限定生産であった世界で最も薄い
スプリット秒針クロノグラフ専用ムーブメントCal.CH R 27-525 PS。
Cal.CH R 27-525 PS 2005年当時は限定生産であった世界で最も薄い
スプリット秒針クロノグラフ専用ムーブメントCal.CH R 27-525 PS。

 この快挙を皮切りに、パテック フィリップは2006年に自動巻きムーブメントCal.CH 28-520を、2009年にはコラムホイール式手巻きムーブメントCal.CH 29-535を発表し、クロノグラフの分野における新たな基盤を築き上げます。

 これらのムーブメントを搭載した美しいクロノグラフは、オークションハウスなどで見掛けられるコレクターズアイテムと同様、色褪せない魅力を備えていることは言うまでもありません。

クロノグラフ

手巻き式クロノグラフの伝統的なスタイルを再解釈したRef.5172。このスタイリングを叶えるための要であるCal.CH 29-535 PSは、パテック フィリップのクロノグラフ専用ムーブメントの顔役として確固たる地位を確立しています。手巻きムーブメント特有の軽やかな付け心地も見逃せません。

■Ref.5172 ■41mm ■18Kホワイトゴールドケース ■カーフストラップ ■手巻き(Cal.CH 29-535 PS)■30m防水 ■価格はお問い合わせください

商品詳細はこちら

Cal.CH 29-535 PS

まさに手巻き式クロノグラフならではの美観を堪能できる
Cal.CH 29-535 PS。

  • Patek Philippe パテック フィリップ 年次カレンダー搭載フライバック・クロノグラフ Ref.5905
  • Patek Philippe パテック フィリップ 年次カレンダー搭載フライバック・クロノグラフ Ref.5905

年次カレンダー搭載
フライバック・クロノグラフ
Cal.CH 28-520 QA 24Hを搭載するRef.5905は、“有用なコンプリケーション”だと評価が高い
「年次カレンダー」の機能とともに、モダンなデザインを兼ね備えた人気モデル
です。
こちらは昨年新たにコクションの仲間入りを果たしたローズゴールドのモデル。
上品な雰囲気でありながらカジュアルなスタイルともマッチします。

■Ref.5905 ■42mm ■18Kローズゴールドケース ■アリゲーターストラップ
■自動巻き(Cal.CH 28-520 QA 24H)■30m防水 ■価格はお問い合わせください

Cal.CH 28-520 QA 24H

自動巻きクロノグラフと年次カレンダー表示と兼ね備えた
名機Cal.CH 28-520 QA 24H。

永久カレンダー搭載
スプリット秒針クロノグラフ

シングルプッシュボタンが印象的なRef.5372Pはパテック フィリップのクロノグラフの頂点に立つ1本。スプリット秒針クロノグラフと永久カレンダーを併せ持つムーブメントCal.CHR 27‑525 PS Qが生み出すケースフォルムは、このモデルが持つ魅力のひとつにほかなりません。

■Ref.5372P ■38.3mm ■プラチナケース ■アリゲーターストラップ ■手巻き(Cal.CHR 27‑525 PS Q)■30m防水 ■価格はお問い合わせください

商品詳細はこちら

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